米国における「暗号資産担保住宅ローン」(クリプトモーゲージ)は、借り手がデジタル資産(主にビットコインやイーサリアム)を担保に、キャピタルゲイン税を回避しつつ法定通貨の住宅ローンを組むことを可能にする。しかし、この革新的な商品は、深刻な評価リスクと規制環境の不確実性という二大要因により、一般市場への浸透が極めて限定的である。
### 評価リスクと担保管理
最大の障害は、暗号資産固有の極端なボラティリティである。従来の安定した担保とは異なり、価格の急激な変動は貸し手を担保価値の大幅な下落リスクに晒す。このリスクを相殺するため、提供業者は通常、極めて保守的な融資比率(LTV)を採用しており、その水準はしばしば30%から50%と低く設定される。さらに、担保価値が所定のしきい値を下回った際には即座に「追証(マージンコール)」が発動するよう高度な監視システムが不可欠となる。借り手が迅速な追加保証金納入または元本返済に応じられない場合、担保の強制清算が発生し、貸し手と消費者の双方にとって複雑なリスクが顕在化する。
### 規制の不確実性
次なる大きな障壁は、連邦政府による明確な規制枠組みの欠如である。SEC、CFPB、OCCといった米国の主要規制当局は、消費者保護、マネーロンダリング対策(AML)遵守、およびシステム安定性の観点から、これらのハイブリッド商品をいかに分類し、監視すべきかについて、包括的な指針をまだ示していない。現時点でクリプトモーゲージを提供するのは、連邦規制の適用を受ける主要銀行ではなく、非銀行系専門業者や分散型金融(DeFi)プラットフォームが中心である。
連邦当局が、明確な管轄権の線引き、自己資本要件、およびリスクモデルの標準化を確立するまで、従来の銀行機関がこの変動性の高い領域に本格参入することは難しい。結果として、クリプトモーゲージは米国の広範な住宅金融システムにおいて、ニッチで高リスクな商品としての位置づけに留まる可能性が高い。
Source: Crypto mortgages in US face valuation risks, regulatory uncertainty



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