ブロックチェーン分析大手チェイナリシスによる最新の報告書は、仮想通貨詐欺による世界の年間損失額が、2025年には過去最高の170億ドルに達すると予測しています。この驚異的な額は、2024年からの推定45%の大幅な増加であり、高度なAI技術とデジタルなりすまし(ディープフェイク)の統合が主な要因です。
チェイナリシスは、生成AIツールが詐欺師の活動方法を劇的に変革したと指摘しています。AIは、大規模な詐欺シンジケートの運用負荷を軽減し、超現実的なフィッシングサイト、極めて説得力のあるソーシャル・エンジニアリングのスクリプト、およびパーソナライズされた偽のアイデンティティを前例のない規模と速度で作成することを可能にしました。これにより、複雑な詐欺スキームへの参入障壁が大幅に低下しました。
特に懸念されるのは、ディープフェイク技術の拡散です。詐欺師はこれを利用してCEO、政府規制当局、または専門のファイナンシャルアドバイザーといった「信頼できる主体」になりすますことで、驚異的な成功率を上げています。合成された音声や動画を悪用するこれらの詐欺は、富裕層や企業の財務部門を標的とし、緊急の仮想通貨送金を促す偽のビデオ会議などを通じて、ターゲットの信頼を悪用します。また、AIは「ブタ解体(Pig Butchering)」などの長期的なロマンス/投資詐欺において、シームレスで心理的に操作的なコミュニケーションを維持するペルソナ作成に利用され、その効果を増幅させています。
170億ドルの損失のうち、投資詐欺が約60%を占め、これには洗練された「ラグプル」(持ち逃げ)を実行する自動化されたAIボットの関与が増加しています。しかし、AI駆動のなりすましやフィッシングによる損失は最も急速に拡大しており、一部の地域では4倍に増加しました。さらに、犯罪シンジケートが使用するAIを活用した難読化ツールは、法執行機関による資産の追跡と回収を困難にしています。チェイナリシスは、この技術的な軍拡競争に対抗するため、世界の仮想通貨コミュニティと規制当局に対し、AI検出ツールの開発と義務的な本人確認(KYC)プロトコルの優先順位付けを強く推奨しています。
Source: AI, Impersonations Drove Crypto Scam Losses to Record $17 Billion in 2025: Chainalysis



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